終活支援・永代供養のご相談なら淡路島 洲本市の寺院
高野山真言宗 西泉寺
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淡路四国八十八カ所霊場 第43番札所 本尊 大日如来
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死後事務委任契約とは、「自身の死後に発生する相続手続き以外の事務処理」を信頼できる第三者を受任者として、あらかじめ託しておく「生前契約」のことです。
万が一のときには、葬儀や埋葬、各種費用の清算など沢山の事務が発生しますが、これらは通常親族が対応することが前提となっております。
そのため、頼れる親族がいない方などの場合は、生前に予めきちんとした様式で一連の事務を第三者に委任しておく必要があるのです。
近年の日本は100歳以上の人口が8万人を超える長寿高齢社会となり、また頼れる親族のいない単身世帯もかなり増えています。このような社会背景から死後事務委任契約の必要性が生じているといえます。
そこで、ここでは「死後事務委任契約」とは何か?について解説します。
誰もがいずれは必要とする死亡者関連の処理は、近親者でないと受け付けてもらえないのが一般的です。地域の人や内縁のパートナーがサポートしてくれるとしても、戸籍上の繋がりがないことを理由に手続きを断られてしまうことが多々あります。
近年は家族より個人を重視する考え方が広まり、遠く離れた土地に住む近親者に対して「頼みにくい」と感じる人が増えています。加えて、気を遣いたくない、気を遣わせたくないと考える人であれば、誰でも死後事務委任契約が適していると言えますが、次のような方は特に必要でしょう。
2020年における65歳以上の高齢単身者は300万人を超え、65歳以上人口に占める割合は13.8%となっています。特に65歳以上人口に占める割合は、男性の8.0%、女性の17.9%が高齢おひとりさま世帯となっており、65歳以上の女性の5.6人に1人は単身者となっているのが現状です。
お一人様やお子さんのいないご夫婦など身近に頼れるご家族がいない方にとって、死後事務委任契約は必須といえるでしょう。
家族や親族はいるけれど、高齢のため手続きを任せるのが困難な場合にも死後事務委任契約が有効です。
近年は、葬儀や埋葬の選択肢が増えておりますが、見送るご家族の考えと食い違う場合もあり、生前の希望を実現できないことも考えられます。ご自身の思いに叶うご葬儀やご供養を確実に執り行いたい方は、死後事務委任契約をぜひご検討ください。
死後の事務手続きは、家族親族であれば別段契約書などがなくても対応できるものです。しかしパートナーが法律婚ではなく、公的な力関係が認められない事実婚による場合は、死後事務委任契約を作成して信頼できるパートナーに託しておくと安心です。
死後事務委任契約でできることは、葬儀埋葬についての他、各方面への連絡や病院や施設への支払いの代行、各種行政手続き、生前の契約の解約手続きなどです。
具体的な例を挙げてみます。
死亡届の提出、健康保険証や介護保険証の返納、年金手続きなど行政手続き
事前に指定された連絡先への訃報などの連絡
指定されたご葬儀・告別式、火葬、納骨、埋葬などの執行、永代供養に関する事務
ご自宅の家財など、ご遺品の整理、形見分けなど
入院費用や医療費の清算、介護施設などの利用契約の解約、費用の清算など
家賃・地代・管理費等の支払い、電気ガス水道など生活インフラの契約、電話契約、クレジットカード、その他一切の生前の契約の解約手続き、費用の清算など
サブスクやSNSなど、次々と増えるデジタル情報の整理
特にデジタル情報はネット上で管理されており、本人以外が把握することは難しいため、生前の対策が肝心です。
死後の手続についてあらかじめ定めておく文書と言えば、まず思いつくのは遺言書です。しかし、遺言書が効力をもつ事項は法律で限定されており、主には次のものです。
つまり主たる内容は財産に関することのため、それ以外の死後の手続き、例えば葬儀に関する事柄や行政手続きを誰に任せるかなど、生前にきちんと決めおくためには「遺言書」とは別に「死後事務委任契約」が必要となってくるのです。
逆に、相続分の指定や遺産分割方法の指定・遺贈・寄付・認知など財産の処分については、死後事務委任契約では対応することができません。「遺言書」「死後事務委任契約」それぞれの特徴について注意と理解が必要です。
受任者が決まったら、受任者に委任する内容を相談して決めます。受任者と委任事項が決まれば、あとは契約書を作成するだけです。死後事務委任契約書は公正証書で作成することをお勧めします。
なぜならば公正証書は公証人が作成する公文書であるため、証拠力が高く、死後ご本人がいらっしゃらない中での事務の執行を確保するのに有効だからです。
では、死後事務委任契約公正証書の作成方法を具体的にお話しします。
公正証書を作成するときは、最寄りの公証役場に相談の予約をします。
公正証書は、公証人と呼ばれる役目の人が専門的に文章を書きます。その内容は、公証人に意向を伝え相談しながら決めるので、予め受任者との間で合意した委任事項をメモして持参するとスムーズです。そのメモ内容を踏まえて公正証書の体裁に整えてもらえます。証明書類(印鑑証明書、戸籍や固定資産評価証明など)が必要な場合は、その時に指示があります。
公正証書の文書案ができあがったら、作成日の予約を取り、予約した日時に委任者・受任者がともに公証役場に赴きます。
作成日当日は、公証人が用意した原本を読み上げ、委任者と受任者が署名捺印をすれば終了です。実印と公証人手数料が必要なので忘れないように準備しておきましょう。
費用は一万数千円程度、所要時間は30分程度です。
作成した死後事務委任契約の公正証書原本は公証役場で保管され、委任者・受任者は謄本を持ち帰ります。謄本は何冊でも用意してもらえます。
作成に要する期間はひと月から数か月程度とされていますが、何事も余裕をもってご準備しましょう。
死後事務委任契約は、他の一般的な契約と同様、判断能力が充分にある間しか契約することができません。身近に頼れるご家族がいない方で、ご自身の万が一のことが心配になってきたら、契約も検討してみてはいかがでしょうか。
契約にかかる費用は一般的に
①契約書作成費用
②公証人費用
③死後事務の執行に関する費用 の3種類です。
①と②については契約を作成した時に支払います。
③については以下のような清算方法があります。
もっとも一般的なのは預託金から清算する方法です。死後事務の執行に要する費用は、50万円から100万円程度が相場のようですが、契約内容にもよりますので費用の見当をつけて契約時に預けます。受任者は、この預託金で事務費用を賄います。ただいつ使うことになるか分からないだけに、まとまったお金を先に預けてしまうのは気がかりです。
他には遺産から清算することもできます。遺産から清算する場合は、円滑な清算のため受任者が遺言執行者を兼ねるのが望ましいです。
死後事務委任契約は、万が一の際の手続を相手へ委任する契約ですが、受任者または契約内容によっては、残念ながらトラブルになってしまうこともあるようです。
死後事務委任契約の対応内容はとても細かく、しかも多岐に渡ります。分野の異なる専門家に委任すると、遺品が適切に処分されない、解約手続きが滞るなど、適切な対応がされない可能性がありますので注意しましょう。
死後事務委任契約を個人の受任者と締結する場合は、受任者が委任者よりも先に亡くなってしまうリスクがあります。受任者が先に亡くなると委任事務が執行されず、トラブルになる可能性があります。
死後事務委任契約を締結する際には、委任事項を明確にしておくことが重要です。死後に生じる事務の内容は多岐に渡り、委任事項は委任者が任意に決めることができます。しかし具体的に何を委任するのか不明確な場合はトラブルになる可能性があります。
死後事務委任契約を執行する費用を契約時に予め預ける場合は、金銭面で次のようなトラブルの可能性があります。
死後事務委任契約を結ぶにあたって、委任事項は委任者(自分自身)が任意に決めることができますが、自分の死後の事務手続きを想定するのは非常に難しいです。死後事務委任契約に精通した専門家に相談し、想定される手続きについて説明を受けた上で、委任内容を具体的に決めることが大切です。
また契約書は、その確実性から公正証書で作成することがポイントです。その際に必要となる預託金に関しては、先に述べたようなトラブルに巻き込まれる可能性もありますので十分に検討しましょう。
当寺では終活支援の一環として、死後事務委任契約に精通した士業の先生方と連携して、皆様のご相談に応じています。
自身の末も、自身で考えなければならない時代がやってきました。お寺が死後事務委任契約の受任者として、もしもの時のお手伝いをさせていただくことも可能です。
ぜひ一度、西泉寺へご相談ください。
高野山真言宗 西泉寺
住職 三宅一弘